インフルエンザワクチンQ&A

Q1:適切な接種回数・接種間隔は?接種すると、効果はどれくらい持続する?

小児の場合、インフルエンザワクチンは、3~4週間の間隔をあけて2回接種する必要があります。2回目の接種後、約2週間で効果が出はじめ、その効果は5か月程度続きます。インフルエンザの流行が例年12月から3月頃ですので、間に合うためには、遅くとも12月までには2回目を終えるのが理想です(10月と11月に接種、または11月と12月に接種)。

Q2:他のワクチンと同時に接種できる?

どんなワクチンでも(生ワクチンでも不活化ワクチンでも)、同時接種は可能です。また、インフルエンザワクチン接種後に他のワクチンを接種する場合は、7日後から(中6日で)接種可能です。スケジュールについて不明な点があれば、遠慮なくご相談下さい。

Q3:1歳未満なのだけれど、接種した方が良い?

1歳になる前のお子さんは、接種しても免疫が付きづらいと言われていますが、全く付かないわけではありません。インフルエンザに感染した人に接触する機会がほとんどなさそうなお子さんは必ずしも接種しなくて良いですが、既に保育園に通っていたり、幼いご兄弟がいる場合は、インフルエンザに感染した人に接触する機会が増えますので、接種をお勧めします(生後6か月から接種できます)。また、ご両親の接種を強くお勧めします。お子さんを守るための第一歩は、ご両親がインフルエンザに感染しないことです。

Q4:昨年、接種したのにインフルエンザに感染した。意味がないのでは?

最近、書籍やインターネットなどで、「インフルエンザワクチンは意味がない。」という意見を時折目にします。また「去年接種したのに感染したから、今年はいいや。」なんておっしゃる方もいらっしゃいます。しかし、意味がないなんてことは絶対にありませんし、絶対に接種していただいた方が良いことをお伝えしたいです。

1歳以上・6歳未満のお子さんがインフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザに感染する確率は70~80%に減ると言われています。確かに、これだけを見るとあまり意味がないように思えてしまいます。しかしワクチンには、感染したとしても重症化しないようにする効果があります。熱が出る日数を減らし、つらい時間を減らすことには有効です。そして何より、インフルエンザで命を落とすことを防ぐためには、インフルエンザワクチンしか方法がありません。

「インフルエンザ脳症」という病気があります。毎年日本で、100~300人のお子さんが発病する病気です。インフルエンザに感染する人の数はものすごい数なので、ほんの一握りではあります。しかし、インフルエンザ脳症になると、そのうち30%が命を落とし、運良く命は助かったとしても、25%は後遺症を残します(寝たきりなど)。インフルエンザ脳症の進行は早く、多くの場合、熱が出てから数時間で、意味不明な言動・急速に進行する意識障害・けいれんなどが出現しますが、そのときには既に「脳症」という状態になってしまっています。つまり、熱が出てから対処しても(症状が出てから薬を飲んだり、点滴をしたりしても)、もう間に合わないということです。インフルエンザ脳症を減らすことができる方法は、ワクチンだけです。

インフルエンザワクチンは、インフルエンザに感染しないために接種するのではなく、インフルエンザで命を失わないために接種するもの、と考えていただけたらと思います。

Q5:卵アレルギーなのだけれど、接種できる?

インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使用しているため、ごく微量ですが卵の成分が含まれています。接種できるかどうかは、それぞれのお子さんの、卵アレルギーの重症度によります。ぜひご相談下さい。

また、もし現在定期的な通院をされていないようであれば、これを機に通院されることをお勧めします(食物アレルギーは、除去している間でも定期的に受診し、食べ方の工夫で治していく必要のある疾患です)。小児科・アレルギー科の当院に、ぜひご相談下さい。